限られた中での馬力を実現　ホンダ　S600　中古車

S600は、自動車メーカーであるホンダが、がかつて生産・販売していた小型スポーツカーである。 略称は「S6」と呼ばれていた。前モデルのS500に続き、1964年3月から1965年12月に生産されたFR駆動方式の2シーターオープンスポーツクーペである。現在でもレトロな希少車としてビンテージカーの一種として絶大な人気を誇っている。また、当時の西ドイツへ輸出した初めてのアジア製四輪車でもあったため、非常に誇れるモデルであろう。同社の軸ともなった2輪車やフォーミュラカーで培われた技術を元に、自動車製造の経験不足を補うべく、自動車としては珍しいアイデアやメカニズムを取り入れた、同社の試験車両ともいえる存在である。S500同様の水冷直4DOHCエンジンを搭載し、ボア・ストロークをともに拡大し、606ccとしたAS285E型へ変更された。同社の一連の4ストローク2輪グランプリマシンやF2、F1のエンジンと同じ設計を取り入れた超高回転型エンジンを市販車両として初めて採用している。当時の日本車としては珍しいDOHCと4連キャブレターを装備し、606ccという限られた排気量の中で、回転数で馬力を出す2輪用エンジンの様な特性を持った珍しいモデルであった。装備された京浜精機製作所製の4連キャブレーターや等長エキゾーストマニホールドに、当時のホンダF1の要素をふんだんに取り入れているため、面影をうかがわせる。駆動方式はFRであり、フロントサスペンションは縦置きトーションバー・スプリングとダブルウイッシュボーン、リアサスペンションは、コイルスプリングとトレーリングアームの組み合わせの4輪独立懸架で、軟過ぎず硬過ぎず程よい硬さを生み出した。リアはオートバイやスクーターでは採用例が多いものの、4輪車では殆ど例が無いチェーン駆動と後輪独立懸架の組み合わせ駆動用チェーンケースを、トレーリングアームと兼用としたチェーンアクスルを採用している。この方式は、駆動トルクのリアクションにより、アクセルペダルを踏み込めばリアを持ち上げ、戻せば沈み込む挙動を特徴とし、優れた路面追従性を実現していた。年式が古く、また希少車のため中古車は未だ２００万円以上で取引されている。それほどまでに優秀だったということだろう。