花見に出掛けたついでに茨城県那珂郡東海村まで中古車で回ってきた

いつも近くでしかしない花見を、少し遠くまで出掛けてみようかという気になって、中古車を飛ばして最終的には茨城県那珂郡東海村まで回って来た。 小さい頃には父親がよくたまの休みに、行くあても特になく車を走らせてくれて、あっちの山越え、こっちの谷越えしながらその土地土地に停まって楽しんでいたのを思い出した。 山に入れば木の実を教えてくれ、港に出れば魚を見せてくれ、たまには目の前のあけびをもいでそのまま口にしたり、港で上がったばかりのまるまると太ったいわしを焼いているお母さんに声をかけて売ってもらったり、父親がこんなにアクティブなタイプとは普段見たことがないので、家族は大いに盛り上がった。 本当は小さい頃に近所の山谷を走り回っていたんだと聞かされて、サラリーマンのイメージしかない父親がふと違う人に見えたりもしたな。 自分は都会にしか住んだことがないから、山のことも谷のことも何も知らないが、父親から教えてもらったことがこんな時にはずいぶん役に立って、同じく都会住まいの子供達に、食べていい木の実と、いけない実の区別を教えてやれたのは良かったと思う。 どうしても、お金でしか楽しみを買えない世界に住んでいると心が狭くなる。 少し自然のあるところへ行けば、お金という人工物で生かされているのじゃなくて、全ては自然があるからこそ生きていられるんだという単純な構造をその目で見ることができる。 学校や親親族が教えてやれることより、目で見て、肌で感じて学ぶことの方が何倍も大きいと思う。 実家が田舎なら、子供達にももっと自然を味わわせてやれるのだが、もう両親の実家すら今は誰も住んでいない空き家しか残っていないから、今更あの家をどうこうして泊まったりするつもりにもなれず、あの土地も早晩手放すことになるだろう。 そうなったら、子供達にとっては、自然に触れ合うのもまたお金を出して買うイベントとしてしか触れられないことになるんだろうなと、ふと、雄大な山の桜を見ながら寂しさがよぎった。